お金の使い方がわからない? なら『海賊党』の息吹を感じましょう
「お金……私のお金を何に使えばいいの……お金の使い方がわからないの……あ、あ……あ”あ”あ”あ”あ”」
「それで病むぐらいなら貯金しとこ?」
この悩み、抱えている人にとっては本当に深刻ですよね……。
自分自身もあまりお金を使わないタイプなので、とてもよくわかります。
そこで今回は、お金を『海賊党の思想』という本に使ってみることを提案します。
では目次です。
【何故お金を使う価値があるのか?】
お金の使い方がわからない人が、何故この本を買うべきなのか?
それは、インターネット社会に生きる私たちの、新しい政治の在り方を探求する政党がいて、彼らが何を目指しているのかがわかるからです。
加えて、彼らが生まれることになった歴史的背景などもわかるので、歴史が好きな人は普通に面白いと思います。
この本には、最近ドイツで躍進を遂げた海賊党という党の思想が冷静な批判を交えて書かれています。
皆さんの中には、政治にあまり興味を持てていない。
あるいは興味はあるが気に入った政党はない、という方も多いのではないでしょうか?
そういう方にこそ、一回は読んでみてほしい本です。
政治の世界に吹いている新しい風について知ることができます。
【海賊党とは?】
海賊党。
とても怪しげな名前ですよね。
スウェーデンで産声を上げて、様々な国で同様の思想を持った党が誕生しました。
そしてこの本では、その中でも大きな躍進を遂げたドイツ海賊党について、多くの情報を提供してくれています。
「我々が当選した暁には、パイレーツオブカリビアンの映画製作費に10兆円投資します」
というけた外れの思想を抱いて直進している政党だと思うじゃないですか?
ジャック・スパロウ大好き野郎(音感が良すぎて考えた自分も感動してます)だと思うじゃないですか?
違うんですよねー、海賊党が掲げている思想は、もっとインターネット市民を意識したものなんです。
海賊党の主張で注目されているのは、以下のようなものです。
1.フリーダウンロードの推進
フリーダウンロードの推進は海賊党の大事な思想の一つです。
一昔前にファイル共有ソフト、というものが流行っていたと思います。
自身が持っているファイルをアップロードでき、そのソフトを使っている人たちと共有できるやつです。
ですがこれ、自身がダウンロードした音楽を入れれば、誰もが見て聞くことができるわけで。
つまり一回分のダウンロード料金を払えば、それを多くの人に拡散できてしまう。
それは著作権違反だろ!
ということで、ファイル共有ソフトでのファイルのアップロードは、たいていの場合違法となってしまいました。
海賊党はそこに切り込んでいて、共有されたファイルのダウンロードは合法化すべきだ、といった主張をしています。
実際、著作権というの自体がアーティストの利益を守る、という元の発想から離れてしまっている所があります。
現在は、その権利を集約している機関の利益を守るものになっているではないか、みたいなことを海賊党は述べています。
2.著作権と特許のシステムの変更
上の話と密接に関係があるのですが、彼らは著作権と特許はどうあるべきか、著作権と特許は何を守ろうとしているのか。
そういうものをもっと深くまで切り込んで、再定義しようとしています。
その一環として、「著作権が死後数十年継続するのは長すぎる」や「特許の在り方を見直そう。てか特許いらんくね?」みたいな主張をしています。
この辺は、本当に面白い議論だと思います。
著作権と特許の設計思想に絡む問題なので。
この辺については、また後のファンの雑記で書きますねー。
3.液体民主主義
こちらも非常に面白い発想です。
「インターネットが出てきて、みんな自由に意思表示できるようになった。これネット投票いけるくね?
もう各政策ごとに投票とかできちゃうんじゃね?」
みたいな発想からスタートしたのが液体民主主義です。
どれか党を選び、その党がやっている政策すべてを、強制的に支援しなければいけない政治システムはもうやめよう。
各政策ごとに、民意を反映させることができる政治形態があるんじゃないか。
重要なところでは、そういう問いかけを投げかけているのが海賊党です。
【文章や文体】
文章は固すぎないため、普通に読みやすい本だと思います。
海賊党の支持層はどんな人たちか?
どれくらいの学歴で、どれくらいの年齢で、どんな対応を政治に求めているのか?
といったアンケートの回答も、データとして載っていて、現地で海賊党がどう受け入れられているかを数字で把握できます。
ただ、個人的に気になったのは、国民性などへの言及ですかね……。
「それって本当なの笑? みんなそう考えてるの笑?」と感じてしまう所もありました。
国民性は自分があまり好きじゃない考え方だから、っていうだけですが笑
【感想】
海賊党という党が発生する背景を、歴史をさかのぼって解説していたりして、そこも含めて面白かったですね。
特にドイツ海賊党の発生経緯は非常に面白かったです。
ドイツはかの有名な、ひっとらえることができない独裁者である、ヒトラーを輩出したことで有名です。
ヒトラーの時代は、言論の弾圧や、メディアで発信される意見を意図的に操作するなど、巧みに世論が操られていました。
そしてそれに国民も扇動されてしまった、という悲しい過去があります。
そのような悲しい歴史的背景から、情報発信媒体が権力者側の手に落ちることを、ドイツ国民は嫌がるのです。
この背景があるからこそ、著作権や特許、情報の個人利用の制限を権力者が行うことに強く反発する。
そのため、ドイツ海賊党のような、情報を権力者側から解放しようとする勢力が生まれやすくなる、という考察は非常に興味深かったです。
液体民主主義というシステムと、その問題点についても言及されています。
特に「みんなが政策一個一個に投票できるため、民意が反映しやすいよね、素晴らしい!」という安直な話ではない、というのがこの本を読むと伝わります。
今までなかったタイプの意見集約の仕方であるため、効率よく運営する方法が見つかっていないのです。
海賊党も実際に液体民主主義のシステムを運用してみたんですが、投票してくれる人が特定の問題にしか反応しなかったり、そもそもシステムが煩雑すぎたりといった問題点を指摘しています。
特定の問題にしか反応しないというのは、「安全保障」や「外交」といった規模の大きいものには票が集まらない、ということです。
規模の大きい問題は、有権者からするとよく見えず、関わりづらいため、投票できないという実態がありました。
【海賊党に関する記事】
海賊党に関して自分が知っている記事と言えばこの辺です。
後者の記事は、おときた駿という若手政治家の方が、海賊党に実際に赴いて取材をした時の話です。
一時は大きな躍進をしたものの、現在はその存在感が薄くなってしまっている海賊党のリアルを、取材によって伝えています。
海賊党の躍進は時の運による所も大きく、社会情勢を捉えることも、政治的な躍進については必要なんだなあ、と感じました。
また、海賊党という党が、対話を非常に大切にしていることも伝わってくるので、ぜひ後者の記事も読んでみるといいのではないかなと思います。
【紹介したものまとめ】
今回、お金の使い方がわからない人に向けて、紹介したのは『海賊党の思想』という本です。
海賊党は、大きな主張として、
1.フリーダウンロードの推進
2.著作権と特許のシステムの変更
3.液体民主主義
を掲げている非常に面白い政党でした。
『海賊党の思想』という本は、その海賊党の紹介や、現在の状況、あるいは発生の歴史など、多角的な視点で海賊党を見つめることのできる本でした。
今回紹介した記事は、
でした。
お金の使い方がわからない人に、様々な切り口からお金の使い方を紹介しています。
ぜひこちらもご覧ください!
【自分の雑記】
ここからは『海賊党の思想』のファンである自分が、割と自由に思う事を書いていきます。
お金の使い方がわからない人が、『海賊党の思想』を買いたくなるように頑張ります笑
[1.著作権と特許は何を守ろうとしているのか]
[1.著作権と特許は何を守ろうとしているのか]
著作権と特許は何を守ろうとしているのか?
これは現代社会に突き付けられた、非常に大きな問だと思っています。
それについて、一度再考する必要がある、と海賊党は投げかけています。
なのでここでは、著作権や特許がどうあるべきか、についての個人的な想いを書いておきます。
結論としては、「著作権や特許って、そもそも現段階で整備できるようなシステムでは到底ないですよね(全力逃避)」というものです笑
最近、アイディアに価値はない、という言葉がささやかれたりもしています。
「じゃあ著作権に価値はないね(完全論破)」
とはなりません笑
ここで考えなければならないのは、著作権がアイディアだけの概念ではないのではないか? ということです。
例えば著作権が保証されている本について考えてみます。
もちろんその本の流れや、ストーリーは著作権を構成する物の一部です。
ただ、その本を書いた作家さんの筆を執っていた時間、あるいはタイピングをしていた時間、それも著作権には含まれているはずです。
それどころか、その作品を生み出すために現地取材をしたのであれば、その手間も含まれているべきでしょう。
言ってしまえば、その作品を生み出すための着想を得たその瞬間から、その作品のために費やしたすべての時間が、著作権という概念には含まれているべきだと思うんです。
さらにもっとさかのぼると、その着想を得るためには、その人が培ってきた人生が必要なわけです。
ある着想を得るその瞬間まで歩んできた人生に、その着想が影響を受けていることは疑いの余地がありません。
ならば更に広く、その人の生きてきた人生すべてが、著作権という概念がカバーするものなのではないか?
と思うのです。
そう考えると、著作権とは、いったい何を守ろうとする権利なのか?
我々は守るべきものをちゃんと守れているのか?
逆に守らなくてもいいものを守ってはいないか?
そういうのを、もう少し考えてる必要があるのではないかと思うのです。
[2.海賊党というベンチャー企業]
液体民主主義という、新しいシステムを構築せんとする海賊党の努力を上でも書きました。
それを見て感じた人もいるでしょう。
「海賊党がやってることって、ベンチャー企業っぽくね? 今までなかったものを生み出そうとする感じ」
そう、海賊党はたぶん、政治システムにおいて、ベンチャー企業のような役割を担っているんですよね。
そして、海賊党の例を見ればわかるように、政治ってシステムの再構築に挑める領域が、相当広いと思うんですよね。
だからベンチャー企業を志す人は、それと同じぐらい政治という領域も見ていいと思います!
政治は本当に面白いブルーオーシャンですよ?
海賊党は政治という桁違いに広く、面白いブルーオーシャンに最初に出航したベンチャー企業なんです。
しかしまだ先行者利益を獲得するほど巨大な規模になっているわけでもない。
これは参入せざるを得ないでしょう?
これを見て、一人でも多くの人が、政治というセクターに入っていくのを期待しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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