誰でも分かる「GDP」とは? 分かりやすさ宇宙一! その1
皆さんおはようございます、こんにちは? こんばんは!
皆さんはテレビなどでよく「GDP」という言葉を耳にしたことがあると思います。
ただ実際に「GDP」と言われて、ぱっとどういう事を表している数値なのか分からない人も多いと思います。
そこで今回はGDPとは何かについて説明しようと思います。
さらに、この言葉について深く知ろうと思って読んだ本である『GDP <小さくて大きな数字>の歴史』の内容がめっちゃ面白く示唆に富んでいたので、そちらの部分についても後の記事の中で触れようと思います。
では目次です。
【1.GDPとは何の略?】
まずGDPを理解するうえで大事なのが、「これってそもそもなんていう名称の略なの?」という所だと思います。
これは「Gross Domestic Product(国内総生産)」の頭文字をとってGDPと呼ばれています。
国内総生産という日本語版の名称もよく聞くかもしれませんが、それとGDPは同じものです!
最初に理解しなければいけないのは、GDPとは国内総生産(Gross Domestic Product)の略であるということですね!
【2.GDPとは何を表すの?】
[2-1.GDPの定義とは]
次に触れたいのはGDPとは何を表すのか? という事です。
と言っても、これはGDPとはなんであるかの定義を見ればはっきりします。
一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額
の事です。
なんだかわかるようで分からない定義ですよね……。
これを理解するためには、そもそも「付加価値」って何? という所を理解しないと始まらないと思います。
個人的に付加価値について結構面白い議論を繰り広げた記事を書いたのでこちらも参照してほしいです。
ただこんなの参照する時間はねえぜという方は無視して先に行っちゃって大丈夫です笑
さて、では結局GDPを定義づける必須要素の付加価値とはなんであるのか? という話ですが、Aに手を加えてBを生み出した時の「手を加える」という事が付加価値としてBにくっついてくる、と考えてもらえばいいと思います。
ちょっと謎な説明なのでたとえを出すと、米に手を加えて(この場合、ふりかけをかけたり握ったりという行為が価値を加えています。ただ、この手を加えた行為の内容は上の記事を読むとだいぶ雑に簡略化されている事が分かると思いますが……)おにぎりを生み出した時の、手を加える部分が付加価値ですね。
そして、この付加価値にはたいていお金がつきものです。
例えばおにぎりを握るという行為は、自分が握っている場合はいいですが、誰かを雇って握らせておにぎりを大量生産している場合は人件費がかかりますし、機械で作っているなら機械代がかかります。
さらに言えば自分で握っていようがなんだろうが、おにぎりを作るためのスペースは土地代や家賃として必要になってきますし、原材料となる米を購入するためにもお金がかかります。
その上で、企業側がさらに事業を拡大し、自分たちのサービスをより素晴らしくし、広く多くの人に届けるために、利益という形でもおにぎりに付加価値を積み上げています。
上で述べてきた人件費や土地代や機械代、家賃などが合計でおにぎり一個に90円かかっているとして、その一個に対して10円分企業の利益を上乗せし、おにぎりが100円で売られている状態ができあがります。
このような付加価値の連鎖の最後にある、誰かによって利用される物(おにぎりの場合消費者によって利用される、つまり食べられる。こういう付加価値の連鎖の最後にある物を「最終財・サービス」と言います)の金額の合計を国内で考えていくと、国内中の付加価値をすべて足し合わせたことになります(ここの話は抽象度が高くて理解しづらいですよね……>< 数学のΣとかについて難なく理解できる人なら納得できると思うんですが、そうでない場合、一種の公式として覚えてしまうしかないと思います><)。
おにぎりの例で行くと、おにぎり生産機械も付加価値の連鎖の最後にあります。
機械の場合、企業によって利用される、つまりおにぎり生産に用いられるので。
これもGDPの中に計上されています。
[2-Ex.企業について思う事]
やけに抽象的な話をした後なので全然抽象的ではない、僕の個人的に感じていることについて箸休め的にさくっとお書きします。
GDPには関係ないのでズバッと読み飛ばしてもらっても大丈夫です笑
上で「その上で、企業側がさらに事業を拡大し、自分たちのサービスをより素晴らしくし、広く多くの人に届けるために、利益という形でおにぎりに付加価値を積み上げています」と書きました。
これはとても良心的で素晴らしく、理想的な企業の在り方です。
「企業が提供できる価値を拡大させるために利益をあげる」というのが、社会の公器としての正しい企業の在り方です。
それを忘れて企業の利益というのが、取締役が不正に高い給与を得るためにあるのは論外です!!
そしてもう一つ個人的に現在の企業の在り方で勘弁してほしいのが、「企業が提供できる価値を拡大させるために利益をあげているはずなのに、企業自身が「どこまで拡大したいです」とかなり明確に明示していない事」ですね。
これはもう取締役とか上層部(や下層部も関わっているならそうですが)の不正な給与の受給と同じぐらいヤバいと思っています。
おにぎり提供企業について考えてみましょう。
ある企業A社は「日本中においしいおにぎりを届ける」というミッションを掲げて行動しているとします。
ですが、このミッションだと「何種類ぐらい(もちろん種類以外の切り口でも見ることができますが)」のおいしいおにぎりを届けたいと思っているのか分かりません。
企業が特にその辺について深く考えずに惰性でおにぎりを作り続けているとどうなるか。
新商品は次から次へと発売され、売れたものが「今の日本に求められているおいしいおにぎり」であるとしてまた新しい定番レパートリーに加わっていきます。
ですが、ちょっと待ってほしいと思うのです。
日本人にそんな無制限においしいおにぎりを届けていって、君たちの目標はどこまで行ったら完了なのか? と思わないでしょうか。
自分がこれに違和感を感じる一番の要因は、世界に日本以外に貧困にあえいだりしている国はいっぱいある。
そういう国を見過ごしてまで、おにぎりの新商品を開発し続けることにどれだけの素晴らしさを見出して彼らはやっているのか、分からない。
新商品には新商品を企画立案するための事業部が必要になり、それだけのコストがかかっている。
新商品ができたらそれを店においてもらうための営業費もかかっている。
工場でその商品を少量で量産するための体制を整えるための費用もかかっている。
何度でも言うが、他の国や、日本国内でもおにぎりとかとは無関係で困っている人(虐待にあっているなど様々な悩みが国内でもあるでしょう)がいるにもかかわらず、ここまでの費用をかけてまでおにぎりを生産し続けることに、君たちはどれほどの価値を見出してやっているのか?
その費用を、貧困問題とかの解決のために頑張っている人たちに受け渡して活動を助成したりした方が良いんではないか?
この疑問が自分の中には常にあるのです。
そして、この問題について答えを出すための一つの手段が「どれくらい拡大したいです」を明確に定義することだと思います。
それさえ定義すれば、見ているこっちも企業としても納得できるはずです。
「日本中においしいおにぎりを無限に届けます」というのなら、自分も納得します。
そもそも彼らは何でそこまでおにぎりにこだわり続けるのかは気になりますが笑
ただ、貧困問題よりもおにぎりの方が彼らにとっては極めて大事であることが分かるのでいいのです。
こういう「どれくらい拡大するか」に関する表記が抜け落ちている企業って結構多いような気がするんですよねー。
自分はこれに常々問題意識を感じている、というお話でした笑
皆さんももし起業などをしたり、社長などになったなら、「どれくらい拡大するか」については常に意識して、なんなら企業理念の中にしっかりと明記していったりしてくださいね!
さて、ではGDPの話に戻りましょう笑
【3.GDPの三つの定義とは?】
実は上の項目で紹介したGDPの計算方法はGDPの計算方法のうちの一つです。
「一定期間中に国内で生産された最終財・サービスの金額の合計」っていうやつですね。
では別のGDPの定義とは何か?
それは「一定期間中に国内で生産された最終財・サービスを買った金額の合計」というのと「一定期間中に国内で生産された最終財・サービスを売って得た金額を分配した額の合計」というものです。
前者と後者、共に一番上の定義と値が同じになることは分かると思います。
これを三面等価の原則と言います。
ある値をどの角度からとらえるか、という問題でしかないので、値が同じになるのは当然ですが……。
これがGDPの三つの定義で、この三つの定義を導入することにより生じるメリットがあるので、三つの方法で計算されています。
その辺に関しては次の記事の【GDPって何に役立っているの?】で書きます。
そうですね、ここで補足として説明しておきたいのが、「一定期間中に国内で生産された最終財・サービスの金額の合計」という定義の工夫ですね……。
この記事を書いている最中にふと気づいたんですがこの工夫は結構すごいなと感じました。
一定期間中に国内で生産された最終財・サービスの金額の合計。
一定期間中に国内で生産された最終財・サービスの金額の合計。
受動態なんですよねー。
例えば、深く意識しないで考えると、サービスを作っているのは大体企業って印象なので、「一定期間中に国内で企業が生産した最終財・サービスの金額の合計」とか適当に定義してしまうんですけど、実際は個人事業主などもいるわけで、最終財・サービスを生産している人たちって結構たくさんいるんですよねー。
そういう、「誰が作っているのかは分からないけれど」という、幅広い含みを持たせて書かれている「された」という受動態はとても素晴らしい定義だと思います!
【4.名目GDPと実質GDPの違いとは?】
[4-1.名目GDPと実質GDP]
上の卵もこの猫も写真を適当に選んでいる訳ではないですよ……!
ちゃんとあれは上の三つの定義と三つの卵が合致していて、この猫も右が名目GDPで左が実質GDPの化身なんですからね……!!(いい写真がねえ……)
と言っても、ここまでGDPの話を理解して追ってきてくれた人ならばここに関してはもう赤子の手をひねるように超単純な話です。
例えば、GDPがある一定期間で生産された最終財・サービスの合計額なんだとしたら、おにぎりが100円で売られている状態と、物価が上昇しておにぎりが110円で売られている状態とでは単純に比較できませんよね?
後者の状態ではGDPが前者より上がっていると思いますが、それは決してその国が「色々なものを前より大量に生産できて、少し経済が豊かになったから」ではないはずです。
生産された物の量はまったく変わっていないのに、物価が上がったからGDPが上昇しただけです。
GDPの上昇という結果だけ見ると、より多くの物が生産されて経済が豊かになった形に見えますが、実態はそうではない。
名目GDPはある基準の年からの物価の変動を考慮に入れないGDPの値で、実質GDPはある基準の年からの物価の変動を考慮に入れたGDPの値を示します。
つまり、実質GDPが伸びて初めて「生産された物の量が増えて、経済が豊かになった」と言えるのです。
最近の日本など、先進国に関しては「単に物が増えただけでは豊かになった感じがしない」という点でGDPは経済や、もっと言うと心の豊かさを必ずしも反映しない指標ではありますが……。
[4-2.GDPデフレーターとは?]
そしてここで出てくるのがGDPデフレーターです。
GDPデフレーターとは、名目GDP÷実質GDP×100であり、例えばさっきの例のおにぎりのみが生産活動になっている国(があったら怖いですが笑)で考えると、
(110円のおにぎり×生産数)÷(100円のおにぎり×生産数)×100=110
という値が出てきます。
100より大きいと物価が上昇しているという事であり、今回の場合はおにぎりについてはある基準の年から物価が1.1倍になっていると考えることができます。
このように、GDPデフレーターを計算すると、物価の変動について大雑把に知ることができるため、様々なシーンで利用されています。
次回の記事では、
【次回記事】
【5.GDPって何に役立っているの?】
【6.GDPが大きければ経済は豊かって本当かよ笑】
【7.広告費と家事労働とGDPの関係とは?】
【8.GDPの歴史とは?】
【9.幸福を測る】
について書こうと思います。
(次の記事かけ次第更新します!)
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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以下の記事は関連のある自分の記事や、この記事を書く際に参考した記事などです。
特に『GDPとは何かを小学生でもなんとなくわかるように説明したい』は、自分の文章を読むだけでは理解できなかった方はぜひ参照してみるといい記事ではないかなと思います!
字よりも図が多いのでそこがすごく見通しが良いです!